ニシト:東急東横線都立大学駅にありますカフェダンアロマさんにお邪魔しています。お話を聞かせてくださるのは、店主の神永卓敬さん。

そして実は中学時代からの同級生で、今一緒にお店をやっていらっしゃるという山口真司さんです。よろしくお願いします。

神永さん:よろしくお願いします。

山口さん:よろしくお願いします。

ニシト:最近ですね、知人からこちらの事を聞いてすごい美味しいお店あるよと言われて二、三週間前にこちらにお伺いしたんですが、そこからすごい美味しいのでもうちょくちょくお伺いしてるんですけど、実は私最近コーヒー飲んでなかったんですよ。

なんか分かんないんだけど、あんまり飲みたくなくなっちゃって。

でもこちらでコーヒーいただいたらやっぱり美味しいと思って、またコーヒーライフが復活しちゃったということでですね。

もう今日はちょっとずばり聞きたかったのは、なんでそんなに美味しいんですかっていうことなんです。

山口さん:ずばりですね。

ニシト:そうずばり、なんでそんなに美味しいんだろうって、マスター神永さん。

神永さん:僕は先代が作ってた味が好きでお店を引き継いでるので、言われたまんまをやっているだけではあるんですね。

ニシト:先代は98年、23年前になるんですかねこちらのお店を立ち上げられて。

そして神永さんが引き継がれたのが13年前、今年で14年目ということなんですけど、先代のその味ホームページを拝見すると、低温抽出法?

特殊な入れ方なんですか?

神永さん:特殊でもないですけど、温度が低めでコーヒーを抽出するっていう方法にはなるんですけど。高温とは違う優しい味が出たりとかするのが特徴かなとは思っていてそれを続けていて、あとは焙煎ですよね。

ニシト:焙煎もなんか特徴があるんですか?

神永さん:特徴はないですけど、ちょっと時間がずれればなんか違うなって思うこともあるし、ここが美味しいタイミングっていうところで豆を焼いてあげて、その豆を美味しく落とすっていう単純なことをしてるだけなんです。

ニシト:その教わる時っていうのはちゃんとマニュアルとかがあるんですか?

それともやっぱり見よう見まねでまねてた感じなんですか?

神永さん:もうそういう意味では見て学べじゃないですけどもう落とすしか、慣れるしかないからっていう。

ニシト:よく言うじゃないですか、昔気質の職人さんって教えてくれないっていうね。

ただもう見て学ぶしかないっていう、その先代の久光さんっていうのはどんなご師匠さんだったんですか?

神永さん:要領を、コツは教えてはくれるんですけど、あとはやっぱり自分で落として何百杯とか飲んで、こうやって落とした方が美味しいとかいうのを自分で体験からもう見つけていくしかないです。

ニシト:なんかその言われたコツとかっていうので覚えてる言葉ってありますか?

神永さん:「慣れるしかないよ」それだけです。本当に場数だと思います。

ニシト:何を美味しいと感じるかって人それぞれだと思うんですよね。

その美味しいを言語化するのもすごい難しいと思うんですけど、あえてお伺いしますが神永さんにとって美味しいコーヒーってどんなコーヒーですか?

神永さん:いっぱい美味しいコーヒーあります。

うち以外のコーヒーでもここの美味しいなって思うコーヒー屋もたくさんあるんですけど、こうスゥーって入ってくるコーヒー。

お酒じゃないですけど日本酒を飲んだ時に一口飲んだらジワァって全身に広がるような、旨味と言うか美味しさがコーヒーにもある気はするので、一口飲んだ時にフワァって全部に沁み渡るようなコーヒーが好きですかね。

ニシト:それってやっぱりダンアロマさんっていう名前にアロマって入ってますけど、ダンって何語なんですか?

神永さん:ダンが一応英語だったりドイツ語みたいなことを言われてますけど、褐色とか茶色っていう意味です。茶色の香りなので褐色の芳香。

ニシト:それわかる気がしますね。私こちらのオリジナルブレンドいただいた時に、チョコレートの香りみたいなのがすると思って。チョコレート一緒に食べてるみたいな感じがしました。

神永さん:うちのブレンドはそれも先代仕込みですけど低温抽出と言うか、

それはもう水出しコーヒーを使っているので、高温で落とすのとは全く違う味わいにはなります。

ニシト:高温と水出しだとどんな風に味が変わるんですか?

神永さん:水出しの方が優しいですね。

ニシト:じゃ低温抽出はその間ぐらいって感じなんですか?

神永さん:そうですね。

ニシト:じゃあ、山口さんにとって美味しいコーヒーってどんなコーヒーですか?

山口さん:甘めのコーヒー好きなので砂糖とか入れてなくても、それがもう単純に美味しいですね。

ニシト:それはちなみにこちらのメニューで言うと、甘みが広がるっていうのはどのコーヒーになるんですか?

山口さん:どれでも苦味が強くてちょっと難しいと思うんですけど、自分にとっての甘みって人と違うじゃないですか。なので本当に全部甘みはあると思います。

この間アキコさんがペルーいただいたじゃないですか?

苦味の強いやつ例えていただきましたけど、その中で甘みという言葉もあったのでそういうのは嬉しかったですよね。

ニシト:地面みたいなっていうコーヒーですか?

このペルーチャンチャマイヨっていうコーヒーがライトだと一杯700円なんですけど、なんか飲んだ瞬間に地面の感じなんですよ。口の中でフワァっと香りが立ち上がると立体になってくんだけど、地面って感じなんですよ。

すごいソリッドな固い地面だと思ったんですけど、どんどん温度が下がっていって飲んでいくごとに、その地面から、うわっ草生えてきたって言ったんですよ私ね。

フワァってその地面から色んなものが立ち上がってきて、その草が香りがし出すんですよっていう風に私は表現させていただいたんですけど。

山口さん:表現が素晴らしいですね。

神永さん:嬉しい表現です。

ニシト:あとね面白かったのはですねこちらに中国雲南省のコーヒーがあって思茅(シモン)って言うんですけど、中国にコーヒーあったんだっていうこれもビックリで、どこか懐かしさを感じさせるスモーキーな香りって書いてあるんですけど、私にとってこれはですね、水墨画。

ていう感じのコーヒーで柔らかいんですよね。柔らかくってちょっと掴みどころがないんだけど、エアリーというか。

神永さん:僕は最初に飲んだ時に昔の味がするって言いました。なんか田舎とかに帰った時 に、家を開けた瞬間にフワッて匂うちょっと埃っぽいじゃないですけどちょっと独特な香りみたいのがあって、それを昔の味って僕は表現しちゃいましたね。

ニシト:だからこちらのコーヒーって何かね、全部飲んでみたくなるんですよね。楽しいんですよ。コーヒーってほんと私もいろんなコーヒーがあるなと思ってて、体にこう入れた瞬間にフッて馴染んで、何ていうか消えてくようなコーヒーとか。それって本当に美味しいんだなって思ったことあるんですね。

こちらのコーヒーは私にとってですよ、体に入った瞬間に細胞と溶け合うというよりはアミューズメントなんですよ。一杯一杯が、どちらかと言うと個性的で、それぞれに楽しませ方を持ってくれてるコーヒーっていう感じ。

だからおもちゃみたいな、なんか今日はこのペルーのおもちゃで遊んだから今度のはタンザ ニアのおもちゃで遊んでみたいみたいな。そんな風に、コーヒー屋さんに来ておもちゃで遊ぶようにコーヒーを楽しめるって初めてだなと思って、

なんでそういうコーヒーが出していただけるんだろうっていうのはもう私にとって興味津々で。

いろんなコーヒー屋さんあるじゃないですか、ブームですよねある意味ね。そんな中で私の中ではですよ、このダンアロマさんはコーヒーの遊園地なんですよ。

お二人はどんなお店にしたいと思ってこちらをやってらっしゃるのかなっていうのを、じゃあオーナー神永さん。

神永さん:今おっしゃていただいたように、似たような焙煎加減でもコロンビアとブラジルが似たような味ではつまらないし、その豆一つ一つが個性を出せるように気をつけて焼いてるっていうのはありますね。

ニシト:同じ豆を使ってらっしゃるお店さんでもその焙煎の仕方と入れ方で全然味って違うんですか?

神永さん:変わります。一括りブラジルって言ってもうちのように陰干しを使っているところだとか

ニシト:”Kageboshi”ってこれアルファベットで書いてあるのはそういう名前のコーヒーなんですか?

神永さん:コーヒーって天日干しをするんですけど、そのブラジルは乾かす時に日陰で干すので時間をかけてゆっくりなので甘みが濃くなります。

あとは言われてるサントスとか有名なところで言うと、結構深煎りしてるお店が多かったりとかするんですけど同じブラジルって言っても入れ加減によって全然違うしその種類によっても全然違います。

初めて来た方が「ブラジル苦手なの」って言われたとしても、うちのブラジル飲んでませんよねって。「私グアテマラ好き」って言ってうちのグアテマラが好きかどうかは分かりませんって思っちゃうんですけど、でも一般にコーヒーを飲まれてる方って国名だとかで楽しんで飲んで頂いてるのはいいんですけど、もう一歩深く踏み込んでコーヒーを楽しんで欲しいなっていうのがすごくあります。

ニシト:じゃあコーヒー好きの方っていうのは割とこの豆が好きだって言うようにご自分の趣味をお持ちなんだけど、お店によって全然味が違うよと。

神永さん:同じコロンビアでも全然違うでしょうし、なのでうちはうちの味を作り続けると 言うか作っているだけなので。

ニシト:何をやってもね人間性が絶対出ると思うんですよ、そこに。そういう意味でいうとお互いにですよ、中学時代からのお付き合いの神永さんと山口さんはやっぱり同じコーヒーでもお互いのコーヒーを飲むと、「神永のコーヒーだな」とか「山口のコーヒーだな」みたいなのって感じたりするもんですか?

神永さん:もちろん失礼のないコーヒーを出さなきゃいけないので、どっちが落としてもきちんと美味しい物っていうのは絶対条件なんですけど、同じ豆を同じように落としたことあるんですけど種類によるのか何なのかわかんないですけど。

ちょっと多めに落としたコーヒーとか山口が落としたコーヒーを僕が飲んで、負けたなって思うこともあるぐらいです。

ニシト:そういう時、言うんですか?

神永さん:言いますね「今日の、良い」って。

山口さん:それは小さくガッツポーズ。

神永さん:逆に僕が落としたのを山口が飲んだ時に「今日の美味しいね」とか、あとは「今 の煎り加減、焙煎度合いいいね」とか、やっぱりお互いで話し合っとかないとお互いに焙煎 するので、同じ豆でも違いすぎるととんでもないことになっちゃうんで意見交換はします。

ニシト:今まで飲んだ人生においてのベストコーヒーって何ですか?

山口さん:人生においてのベストコーヒー?

神永さん:僕は自分で落としたペルーのチャンチャマイヨのデミタスですね。

ニシト:自分で入れたやつが一番美味しい、素敵ですね。自分の好みに入れることができるんですもんね。

神永さん:好みに入れても好みにならない時もありますからね、その時の方が大半なんで。

ニシト:これベストだわ、未だ越えてないわってのは、いつ頃のそのペルーチャンチャマイヨのデミタスなんですか?

神永さん:たぶん五、六年前です。

ニシト:五、六年前のその時のデミタスを越えてないって感じがあるんですか?その時って何があったんですか?

神永さん:分かりません。

山口さん:どんどん変化していくので、今自分らが落としてるネルの状態であったり。

ニシト:ネル?

神永さん:うちの抽出方法がペーパードリップとかフレンチプレスとか、落としてるその抽出方法の一つでネルドリップっていうネルを使ってうちは落としてるので。布の新しさとか状態とかによっても変わってきます。

豆の状態もそうだし落としてるタイミングもそうだし、それが全部バチッてはまった時がたぶんとんでもないコーヒーができるんだと思うんですけど、常にそれは目指して落としては いてもやっぱりあれは百点を越えたなって思えるコーヒーっていうのは、13年やってきてもあの一杯を越えたものってないですね。

ニシト:山口さんはどうですか?人生のベストコーヒー。

山口さん:入って半年ぐらいですかね、そん時にその濃いフレンチブレンドのマスターと同じようにデミタスで落としたんですね。それがもうすごく美味しくて、自分はそれですかね。

ニシト:ご自分で入れた?二人とも自分好きですね。

山口さん:自分に自信持たないとね。

ニシト:でもなんか二人ともデミタスだったんですけど、やっぱコーヒーの醍醐味ってデミタスにあるものなんですか?

山口さん:でも人によると思います自分らは濃いのが好きなので。デミタスってね、濃さもあるし甘さもあるし本当に濃厚な贅沢なコーヒーなので。

ニシト:ウイスキーで言うと水割りじゃなくてストレートで飲むっていうそういう感じの美味しさがやっぱりデミタスにはあるんですかね?

山口さん:そうですね。

ニシト:特に今はこのようなリモートワークの状況だと自宅でコーヒーを飲まれる方多いと思うんですけど、自宅で入れる時に美味しく入れるコツってもちろん色々あると思うんですけれども素人の人が、どういうところにこだわったらコーヒーって美味しくなるよっていうのはどんなポイントがあるんでしょう?

山口さん:やっぱ入れ方ですよね。ペーパードリップで入れるのか、普通のエスプレッソみたいな機械とかで入れるのかによってたぶん違うと思いますので。

ニシト:個人的にうちはペーパードリップで入れてるんでそれで教えてください、私が知りたいっていう…(笑)

神永さん:全然ペーパーで美味しく落とせます。

ニシト:ペーパーも2種類あるじゃないですか漂白してるやつとしてないやつ。やっぱ漂白の方がコーヒーの味をそのままいただけるものですかね?

 神永さん:そうだと思います。あと、ドリッパーの違いです。カリタの三つ穴式なのか今ハリオだとかコーノとか、円錐型のドリッパー。

ニシト:うちは円錐です、私のことばっかり。(笑)

神永さん:いろいろそのコーヒーを遊んでいて、カリタのドリッパー楕円型のペーパーを使うものと、ハリオの円錐型のドリッパーとまたちょっと違うウェブドリッパーって言われるカリタさんが出してるやつなんですけど。

全部並べて落とした時に、頑張って美味しく落とそうとして美味しくなるのは円錐型です。適当に落として美味しく飲めるのはカリタです。

カリタさんはそういうところはすごいです。

ニシト:丁寧に入れるとか、「私無理~」みたいな人は円錐型じゃない方がいいんですね。じゃあ円錐型はどんな風に頑張ったら。

神永さん:周りにお湯をかけないことです。

ニシト:一般的にはですよ、お湯を沸騰させてそしてこう全体を湿らせるように真ん中からこうちょっと円を描きながら入れて、20秒ぐらい置いて再びまた真ん中からグルグルグルグルってやって、ワーっていっぱいまでお湯を入れたら待っとくみたいな、合ってます?ちょっと違うわけですね。

神永さん:カリタだったらいいですけど、円錐型でそれをやると抽出が早いので、注いだ量が注いだまま下に出ていくので薄くなりがちです。なので注ぎ過ぎないことが大切かもしれないですね。

僕が円錐型のドリッパーを使う時は、ネルと同じような状態なので真ん中しか使わないです。

ニシト:真ん中にしかお湯入れないんですか?そしたら端っこは乾いてる状態ですね、それでいいんですか?どれくらい注ぐんですか、その中心部に?

神永さん:五百円玉ぐらいの大きさです。入れてる豆の量によっても五百円玉なのか十円玉なのか一円玉なのか大きさ変わってきますけど。

一人分を落とそうとするんだったら、乾いてる部分を少しだけ残した状態で最初にお湯をかけてあげる。ちょっと待ったらブクブク膨らんできます。

ニシト:新鮮な豆だと割と膨らむけど古い豆だとあんま膨らまないって聞いたんですけど、本当なんですか?

神永さん:そうですね、ガスを出してるんですけどそのガスが全部なくなってしまうとブクブクが出てこなくなります。それが古いってことなんです。ブクブクが落ち着いたらもう一湯します。

ニシト:もう一湯、お湯を?またそのゾーンにしかかけないんですか?

神永さん:そのぐらいしかかけないですね。

ニシト:その端っこのコーヒーの役割は何なんですか?濡れてないコーヒー豆の役割は?

神永さん:最後は濡れるんで、真ん中だけ注いでても。ペーパーが湿ってきたらペーパーの上に向かってジワーっとペーパーが湿ってくるじゃないですか?その湿りが豆の方にも入ってったりそしたらその辺りが真ん中からとペーパーからの湿り気がコーヒー豆にこう入っていって端っこの乾いたゾーンも結局使われます。

ニシト:コーヒーを仕事とされてる方だったら誰でも知ってることですか?

神永さん:だと思います。ネルもそうですけど、ペーパーでドリッパーの中の外側にお湯かけたら、もちろんその中に入っていくお湯もありますけど、ペーパー伝って壁伝いに下に落ちてコーヒー通らないので外側は使わないんです。

極力、真ん中だけ使っていれば全体に行き渡っていくので。

真ん中から広がるコーヒーエキスをどんどん出してってあげたほうが、コーヒー豆全体をきちんと使って落とせるんじゃないかなとは思ってます。

カリタなんかは自然とお湯が溜まる仕組みになってるので、そうするとお湯は落ちずにコーヒー豆はずっと浸ってるので、お湯が沈んでいくまで注げないじゃないですか。だから一定の味になる。

さらっとしたコーヒーが飲みたければ円錐型、濃いコーヒーとか適当でも美味しく飲むんだったらカリタみたいな感じですかね。

ニシト:聞いてくださってる方のコーヒーライフが充実すると思います。ありがとうございます。今日なんかちなみにコーヒーを入れていただいて、その様子をこう見せていただくことっていうのは可能ですか?

神永さん:はい、大丈夫です。

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